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パイレーツから戦力外通告され現役引退することが濃厚な桑田真澄投手(39)。今後の去就が注目されているが、帰国しても、原監督が率いる現体制の巨人にユニホームを着て復帰する可能性はゼロに近い。昨年、ケンカ別れのような形で退団したことが尾を引き、現場では冷ややかな雰囲気が流れている。次期監督ともウワサされる桑田の戦力外通告と同時に、巨人は5連敗で首位から陥落。どちらも緊急事態を迎えている。

 戦力外を通知された桑田に対し、ヤンキース・松井、マリナーズ・イチローといったメジャー組。またソフトバンク・王監督、日本代表・星野監督からの、ねぎらいのコメントが紙面を飾った。ところが、不可解だったのは、古巣である巨人の談話は、まったくといっていいほど掲載されていない。

 実際、桑田への感想を求められた選手も、生返事ばかりで、コメントとして掲載しようがなかったのが舞台裏の状況だった。これまでも原監督やコーチ陣は、中年の星としてスポットを浴びた桑田の件に関しては口が重く、担当記者といえども、誰も切り出せなかったという事情もある。

 そういった重い空気を桑田自身が察していたのも事実で、取材に訪れたテレビ局のスタッフには、「巨人の選手がボクの話をすると、嫌な顔をする人がいるから、聞かないであげてね」と気を使うほどだったという。

 昨年、ホームページでの退団発表。1軍での「さよなら試合」を拒否した一連のゴタゴタを考えれば無理はないが、そこまで両者の関係がこじれている証拠かもしれない。そんな桑田に、次期監督、来季にもコーチで入閣-という話題が飛び交っているが、現体制ではそんな反応しかなく、まさにありえない話だ。

 それでも桑田は、「どうしちゃったの巨人は? 独走してたんでしょ?」と、米国にいても古巣の成績と、人気低迷を気にかける巨人愛を示し、明らかに巨人監督の座を狙っている。

 「ボクが監督になったら、一からチームを作りたい。選手には気持ちよく野球をやらせてあげたいよね」と夢を語るほどだが、これではフロント主導で、原監督の下でコーチ就任の打診をされても、クビをタテに振ることはないだろう。

 そうはいっても、今回のメジャー挑戦は、巨人があらゆる方法でバックアップしていた。たとえ、ユニホームを着られなくても、堀内前監督や、かつての原監督のように「読売新聞スポーツアドバイザー」などで、籍を残す可能性はあるが…。

 一方、巨人は16日の広島戦(広島)では1-0でリードした5回に、木佐貫が梵に2ランを浴び逆転を許すと、3-6で完敗。最下位の広島相手に、まさかの3タテを喫し、今季2度目の5連敗で、7月31日以来の首位陥落となった。

 桑田は日本で最後の登板となった昨年4月27日の広島戦で、新人だった梵にプロ初本塁打を献上。「あんな非力な打者に本塁打を打たれているようでは」と首脳陣から酷評され、2軍に降格され、登板機会を与えられないまま巨人を去った。

 その後、桑田に引導を渡す形となった梵は新人王を獲得し、今季の本塁打はこれで10本目。“梵のどこが非力な打者なんだ”という桑田の怨念(おんねん)が、梵のバットに乗り移ったかのような一撃だった。

 10日には中日に4ゲーム差をつけ首位を快走していたが、わずか6日でひっくり返されるという、信じられない展開。ここにきて完全に息切れ状態となってしまった。

 このまま、ずるずる負け続け、クライマックス・シリーズへ進出できなければ、原監督の去就も微妙に。そうなれば、桑田の今後にも影響してくるだけに、今後の戦いは、より重要な意味を持ってくる。

 

 

ZAKZAK 2007/08/17

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